AIエージェントという言葉が広がっている。

AIが自律的に判断し、メールを送り、予約を入れ、発注をかける。人間が指示しなくても、AIが「代わりにやっておく」時代だ。

一見、便利に聞こえる。

しかし私はここに、最も大きなリスクを感じている。

問題は性能ではない。責任の所在だ。

AIエージェントが自律的に行動した結果、何かが起きた時、誰が責任を取るのか。AIは取れない。法人でも自然人でもないからだ。

医療現場でAIエージェントが診断を補助し、処方を提案し、自動で記録を更新したとする。その一連のプロセスで、医師はどこで「承認」したのか。承認の記録はあるか。責任の境界はどこか。

これが曖昧なままAIエージェントが広がると、社会は「誰も責任を取らない空白地帯」を量産することになる。

必要なのは、エージェントを止めることではない。

エージェントが動く前に、人間の承認を必須とする構造を設計することだ。

AIが提案する。人間が承認する。その記録を監査ログとして残す。

これがAI責任構造の核心であり、エージェント時代に最も必要な設計思想だと考えている。